想いを調和
させる難しさ
若林英俊さん
現在、日本工業大学院2年、小川研究室に所属。
MINTでは、カフェの看板を作成してもらった
今回は、日本工業大学院生の若林英俊さんにお話を伺いました。若林さんをはじめ、大学の建築学科、小川研究室の歴代の学生さんたちにこのカフェの空間を作って頂いています。若林さんにも、カフェの顔となる看板を作って頂きました。
【小川先生との出会い】
最初に小川先生の授業を受けた時の、「空間を考える。」という言葉が印象に残っています。設計は平面の間取りを設計するだけではありません。例えば、リビングなら家族全員が集まれるように、間取りを広くとり高く開放的な天井高さが良いのではないか?明るく?古民家のような落ち着きのある暗さ?仕上げは?といった空間を考える先生の話は自分の固定概念を覆される体験でした。同時に魅力を感じ、小川先生の研究室に入りたいと思いました。
先生は、自分たちのイメージを実現に向けて否定せず、受け止めてくれます。そこから、実際に作るにはどうすると良いのかアドバイスをもらえるので、設計の視野を増やして頂きました。小川研究室では、デザインだけをするのではなく、依頼者の要望とこちらの提案とのギャップをどう実現に向けて落とし込んでいくのか、お金がかかるところをいかに工夫するかなど、自分の良いと思ったことだけを実現させていくのではなく、バランスをどうとっていくかを実際に学ぶことが出来、とても大切な経験の連続でした。そして、研究室の活動を通してこの経験が大学4年生の1年間だけではもったいない、もっと先生のもとで建築を学びたいと思い、大学院生になることを決めました。
【MINTとの関わり】
カフェの看板作成の依頼は、大学4年生で小川研究室に入り、初めて任されたプロジェクトでした。カフェは、先輩たちが積み重ねてきたものがあり、その想いと調和させながら作ることがとても難しかったです。先生からは、一つのものとしてではなく、背景とどう合わさっているかを考える、というアドバイスを頂きました。
デザインしたものを、依頼者にプレゼンするということも初めてで、何をどう話せばよいのか困りました。先輩にフォローしてもらいながら、進めることが出来ました。実際に看板が完成した時は、達成感もありましたが、カフェにとってこれで大丈夫か、先輩たちがやってきたことを崩してしまっていないかなどの心配がしばらく絶えず、これが「社会的な責任」なのかなと感じたことを覚えています。初めはてさぐり状態でもプロジェクトを通して得た知識や経験は、何かしら身について、何かしら成長しているものだと思えるようになりました。
【後輩たちへ】
後輩たちには、感覚的なところ、自分なりのこだわりを大切にしてほしいと思います。先輩たちの想いも大事にしてほしいですが、そればかりに気を取られることなく、自分のアイデアも大事にして、新しいチャレンジもしてほしいです。とはいえ、カフェは自分たちが戻ってきた時には、いつ来ても、最初のイメージと変わらず、「帰ってきた」という気持ちになれる場所として守ってくれたらうれしいと思います。