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一覧へMINT通信 vo.40 2021年5月号

ニュースレター投稿日時2021.05.01 16:08

地域のMINTファミリー紹介

①

 

 

佐藤茂夫さん  『永遠に研究』

 

(ご紹介)

NPO再生可能エネルギー推進協会理事。日本工業大学名誉教授。農作物残渣、エネルギー作物等のメタン発酵によるエネルギーと肥料(液肥)創出の活動支援を行っている。

 

 

今回は、佐藤茂夫さんにお話を伺いました。昨年、再生可能エネルギー推進協会を中心に行われたオンラインイベント「ハロウィンかぼちゃ作品コンテスト」で、宮代産のかぼちゃをカフェの店舗前や店内にレイアウトするなどして、イベントに参加させていただきました。

 

【今やっていること】

以前、宮代町教育員会が町内全小学校5年生と6年生に実施していた「Kids’ISO 14000プログラム初級編」取り組みにアドバイザーとして参加させていただきました。このプログラム「中級編」として、中学生たちが家庭の廃食油再利用促進運動を実施しました。これが契機となってひまわり作業所では近隣の事業所などから出る廃油を集めて、バイオディーゼル(BDF)燃料に変える事業を開始しました。私は、この時からBDF燃料製造時の副産物(グリセリン)からメタンガスを製造する研究を行っています。

2011年の東日本大震災を契機に福島県で手作りのBDF燃料製造装置や実用レベルの小型バイオガス製造装置を作り、地元の方々といろいろな実験を行いました。この福島での取り組みによって我々NPOのバイオガス技術は大きな進展を遂げ、南相馬市の福祉作業所における生ごみを原料とした装置の製作、北海道の牧場ではグリセリンを利用してバイオガスを増量する実験を行っています。昨年は宮代町内に良質の液肥を製造する実験装置を作りました。

今は、新型コロナウイルス対策として自動運転や遠隔操作で装置の運転状況を監視するなど、技術的な面ではさらに進化したものになっています。

 

【この環境で生きていく】

1990年代後半からダイオキシン問題を契機に宮代町と久喜市のごみ問題に関わるようになりました。この時代のごみ問題の焦点は、ダイオキシンに代表される有害物の抑制や除去でしたが、その後は生ごみからのエネルギー回収技術などに関心が移ってきました。

現在の環境問題は、気候変動への対応策が重要になっており、これは貧困や差別の問題にもつながるものと言われています。今の言葉を使うと、SDGs(持続可能な開発目標)がキーワードになります。持続可能な社会であるためには、地産地消の食とエネルギーをしっかりと確保できるまちづくりが必要です。社会的弱者が安心できる体制を作ることは災害に強いまちづくりにつながります。異常な長雨や干ばつに対応できる農業技術を確立する必要があります。他にも、「ものづくり体験講座」として災害時に仮設住宅化できる簡易組立式ログハウスを開発したいと思っています。私たちは、絶えずこの環境で生きていくことになるわけですから、平時から意識していきたいですね。

 

【ソーシャルファーム】

目下、三井物産環境基金の助成によって取り組んでいるプロジェクト(「顔の見える地産地消の食とエネルギーづくり」)は、宮代町に手作りバイオガス化設備を設置し、地域住民や学生が管理運営できる仕組みづくりを目指しています。各種イベントを通じて農家、レストランシェフ、消費者の顔の見える関係を創出するべく活動しています。「ハロウィンかぼちゃ作品コンテスト」は、この活動の一つとして実施しました。

現在、宮代町の農家さんと協力して装置を設置し、エネルギー作りを進めています。この装置で良質の有機肥料(液肥)と農業のIT化(液肥を使った水耕栽培など)に必要なエネルギーを作ります。こうした取り組みがビジネスとして成り立つ仕組みの一つとしてソーシャルファーム(社会的企業)を設立し、学生、外国人留学生、高齢者、障害者、皆と一緒にやっていきたいという想いがあります。様々な人の力が必要であり、MINTにも期待しているところです